体臭の正体はノナナール?98%が持つニオイ物質の話

体臭の正体はノナナール?98%が持つニオイ物質の話

「自分の体臭って、そもそも何のニオイでできているのだろう」
と考えたことはありませんか。

実は、日本人のほぼ全員から検出されるニオイ物質があります。
ノナナールという、油っぽさの代表格です。
当社が2018年末までに積み上げた1,500件の体臭検査データを分析したところ、体臭は「誰もが出しているニオイ物質」と「一部の人にしか出ないニオイ物質」の組み合わせでできている、という構造が見えてきました。

ノナナールは日本人の98%から見つかるニオイ物質

当社の検査データの中で、もっとも高い頻度で検出されたニオイ物質がノナナールです。
その検出率は98%。

つまり、ほとんどの日本人が多かれ少なかれ持っている物質ということになります。


1,500件のデータが示したこと

日本人を対象に何かを調べるとき、1,500という数字には意味があります。

約1億2千万人という母集団に対して、1,500件のサンプルが集まれば、全体の傾向や平均値を十分な精度で見積もれるとされているためです。


当社の体臭検査ユーザー数は2018年末に1,500件を超え、そこで初めて「日本人の体臭傾向」としてデータを語れる段階になりました。


「バラの香り」と呼ばれるのに、実際は重い油のニオイ


ノナナールはアルデヒドの一種で、香料の世界では「バラのような香り」と表現されることもあります。

しかし実際に単体で嗅いでみると、印象はまるで違います。
香料の入っていない化粧品のような、重苦しい油のニオイです。


香水の原料としても使われ、香りに奥行きを出す「ファッティな香り」を作る役割を担っています。
そして体臭においては、量が多いほど油っぽさが増すだけでなく、体臭そのものを強く感じさせる働きをします。


体臭は「基礎体臭物質」と「特異体臭物質」でできている

体臭の原因物質は、性質の違う2つのグループに分けて考えると理解しやすくなります。
この分け方の詳細は「自分だけ体臭が違う理由|専門家が教えるニオイ物質の正体」というブログ記事も参考にしてください。

誰からも出る基礎体臭物質は20数種類


内分泌由来で、なおかつ人間が感じ取れる臭気物質は340種類ありました(2018年末時点の出現数)。
そのうち、グループとして誰からも検出されるものが20数種類。
これを基礎体臭物質と呼んでいます。


区分けの条件は2つです。

  • 脂臭

  • 鉱物油臭

  • 甘酸っぱいニオイ

  • 甘酸っぱさと青臭さを併せ持つニオイ

  • 酸っぱいニオイ

という5つのグループに含まれる臭気特性を持つこと、そして出現頻度が全体の30%を超えること。
同じニオイ特性でも出現頻度が低いものはカウントしていません。

基礎体臭物質は、出てくるときの量が他の物質より圧倒的に多いのも特徴です。


特異体臭物質はニオイの「質」を左右する


一方の特異体臭物質は、一部の人にだけ現れる物質です。
ワキガ臭やPATM、獣臭のように不快度が高いものが代表的ですが、キャラメルや桃のような甘いニオイのもとになる物質もここに含まれます。


良いニオイ物質があっても良い体臭になるとは限らない


たとえば良いニオイの物質がしっかり分泌されていても、それを上回る量の脂臭が出ていれば、第三者が感じるのは油っぽさのほうです。

逆に、良いニオイの物質が少なくても基礎体臭物質の分泌量が少なければ、「体臭がない人」「ニオイが弱い人」として受け取られます。


この構造は他のニオイにも当てはまります。
ワキガ臭はアポクリン腺由来の特異体臭物質が原因ですが、基礎体臭が少なければ全体量が抑えられ、結果としてワキガ臭の発露も少なくなります。

ワキガ臭を作る雑菌にとって、皮脂に含まれる分泌物が餌になるからです。
PATMはさらに明確で、当社の検査で判明した原因物質20数種類の大半は皮脂に含まれる難水溶性物質でした。


ノナナールが増える40代、女性にも加齢臭は起きる


プレスリリースを出す際、ノナナールの分泌量を年代別・性別で平均化してみました。
すると、はっきりした傾向が現れます。

30代で25%増、40代で1.5倍

ノナナールは10代・20代の女性でも例外なく検出されます。
ただしこの年代では、甘いニオイや甘酸っぱいニオイに紛れて、ほとんど感じ取れません。代謝の良さから来る酸っぱさにも、脂っぽさを覆い隠す働きがあるように見えます。


ところが30代に入ると、それまでより25%ほど分泌量が増えます。
そして40代では、若い頃の約1.5倍。
ここまで来ると、脂っぽさが女性らしい良いニオイを上回ってしまう方が増えてきます。



背景には、良いニオイ側の減少もあります。
ロート製薬の研究では、10〜20代の女性に特有の甘いニオイの正体が「ラクトンC10/ラクトンC11」であり、30代以降で大きく濃度が減少すること、その曲がり角が35歳付近にあることが報告されています。

増える側と減る側が同時に進むわけです。 



「昔風の化粧品のニオイ」の正体

「お化粧が厚いわけでもないのに、昔風の化粧品のようなニオイがする」「なんとなくお総菜コーナーのようなニオイがする」。

こうした表現が当てはまる場合、女性の加齢臭である可能性が高いと考えています。


お総菜コーナーのようなニオイには、ノナナールに加えてデカナールという物質の過剰な発露が関わります。

どちらも40代女性の検査データで頻繁に見かける組み合わせです。


加齢臭は男性だけのものではない

加齢臭は男性のものというイメージが根強いのですが、女性も40代を過ぎると発生することが分かっており、更年期を迎えると強まる傾向があります。

女性の場合は青臭さや汗っぽさが男性より少ないぶん、「加齢臭」と気づかれにくいという事情もあります。

ワキガもPATMもないのに年々体臭が変わっている、と感じる方は、ここが出発点かもしれません。 



体臭を知らずに香りを足すと逆効果になる


自分の基礎体臭のバランスを知らないまま香水などを使うと、体臭と混ざって不快なニオイとして受け取られることがあります。
悪臭タイプの特異体臭物質が出ていない人でも、これは起こります。


酸っぱさが強い人にきつめの柑橘系は合わない


酸っぱさは若い世代の体臭の特徴です。
この状態できつめの柑橘系フレグランスを使うと、酸っぱさが余計に際立ってしまいます。
レモン系はあまりおすすめできません。


同じ柑橘系でも、ベルガモットのような柔らかい印象のものや、甘さが強めのダークオレンジであれば、酸っぱさの程度次第ではリスクは低くなります。

酸っぱいニオイそのものについては酸っぱい匂いの体臭の原因と対策のブログ記事も参考にしてください。


ワキガ臭・PATMはまず無臭化から


ワキガ臭やPATMの場合、基礎体臭の多い少ないにかかわらず、特異な物質の分泌が体臭の印象を決めていることが多くあります。
この場合はまず無臭化が先です。
悪いタイプのニオイが第三者に感知されなくなってから、香りの製品を使いましょう。


順番を間違えると印象は悪化します。
たとえばある種のワキガ臭にグレープフルーツ系の香りが加わると、苦みのある体臭印象になり、かえって不快度が高くなります。


体臭の「土台」を知ることから始まる

体臭は基礎体臭物質と特異体臭物質の混合臭です。
実際には、誰もが持ちうる基礎体臭物質だけが出ている「普通の体臭」の人が圧倒的多数を占めます。


ただし、その普通の体臭であっても、物質のバランスと量次第で人に嫌がられるニオイになり得ます。
逆に言えば、自分の土台がどのタイプなのかが分かれば、香りの選び方も、日々のケアの方向性も、迷わず決められるようになります。


感覚だけで判断するのが難しいと感じたときは、専門的な体臭検査でニオイ物質の種類と量を数値で確かめるという方法も、選択肢のひとつです。

ブログに戻る