No.4 体臭とは何か?その3

No.4 体臭とは何か?その3

前回と前々回では、体臭とは「①その瞬間に体表に分泌されるものに含まれるニオイ物質②すでに肌の上に存在しているニオイ物質➂衣類に蓄積しているニオイ物質」の合計である、というお話の中から、①と②について、少しだけ詳しく書きました。

今回は➂についてのお話ですが、続き物ですし、それぞれ繋がっているお話なので、もし前回と前々回のブログを読んでいないという方は、まずはそちらから読んでくださいね。以下のURLをクリックするとそれぞれのパートに行けます。

No.2 体臭とは何か?その1
体臭検査を既に受けた方はもうご存じと思いますが、体臭とは「体の中から出ているニオイ」だけではありません。体臭検査を受けてない方は「えー? 意味が分からない…」となるかも知れませんが、これは本当の話。 確かに体臭の元となる「ニオイ物質」...
No.3 体臭とは何か?その2
体臭とは何か? というシリーズものの第2回です。前回のブログでは体の中から出てくる分泌物の中に含まれるニオイ物質には「水溶性化合物」と油溶性化合物(難水溶性化合物)」があるということについて、若干詳しく説明してあります。 まだ前回のブ...

今回は衣類のニオイのお話です。

自分の衣類のニオイに気が付かない

洗濯してもニオイが取れない…と悩んでいる人もたくさんいますが、それ以上に、ひどいニオイの衣類を着ているのに気が付いていない人がたくさんいます。それは当社ユーザーさんの私物を感応検査してみるとよく分かります。

「検査用Tシャツを着ているときは何か分からないけど体臭が出なかったんです。この状態で検査できるのですか?」と問診票に書いてくる人が多いこと多いこと!

自分の衣類のニオイに慣れてしまっている

実はそうではなくて、ご自身できれいに洗ったつもりの衣類に「ニオイ成分」がたくさん蓄積しているから、普段から体臭を強く感じていて、逆に検査用Tシャツは新品を3度も熱湯洗浄して完璧にニオイ物質を除去しているから、それが「実感としてのご自身の体臭の差」として表れているだけ、なのですよ。

何故、私がそう断言できるかと言えば…、そうおっしゃる方の分泌物分析結果に限って、同姓同年代平均に比べてなかなかの悪い結果になることが多いのですから。

普段は自分の衣類に対して順応(いつも嗅いでいるニオイを感覚的に遮断してしまう生体の機能)が働いているから、それが当たり前と思っている人でも、一度、本当の「無臭の衣類」を経験すると、順応がリセットされて本質を垣間見てしまう、ということになります。一歩進んで、普段の体臭の相当部分が衣類の蓄積臭である、ということに気が付く…となってほしいのですが…。

新品の衣類も無臭ではありえない

新品の衣類を着てもあまり変わらない、とおっしゃる方もいますが、実は新品の衣類にも様々なニオイ物質が付着しています。むしろ、わざと塗っている、とでも言いたくなるものも多い。かく言う私の所で使っている検査用Tシャツも、購入時点では青臭いニオイや酸っぱいニオイ、更には機械油のようなニオイがしますし、無洗浄のままGCMS分析にかけると様々なニオイ物質を検出します。

サイジング剤(繊維をピッっと伸ばして艶やかに見せる薬剤)や糊、染料や縫製時に付着した成分、収納されていたビニール袋の成分、洗浄が足らずに残る原料臭等々…が原因です。また、自宅の収納品についても、プラスチック収納ケース、タンスなどに中に入れておくと体臭や雑菌関与臭の他にも、環境から移ったニオイ物質が付着するなんてこともあります。

新品=無臭、ということはあり得ない、と考えておいてください。

普通に洗ってもニオイ物質が取れない…蓄積していく…

普通に洗ってもニオイ物質は取れない。何故、取れないか?

普通に洗うということの定義を「市販洗剤を使用方法に沿って家庭用洗濯機で洗う」という条件で考えてみましょう。

前回、体臭の原因となり得るニオイ物質は、皮脂に多く含まれていて、皮脂は汗をかくかかないにかかわらず、毎日一定量分泌される、というお話を書きました。皮脂は油であり、油と水は弾き合う性質があります。だからお水だけで洗濯してもニオイ成分は落とせない。

洗剤を使う意味

そこで洗剤の登場となるわけです。洗剤の主成分、つまり洗浄成分とは「界面活性剤」です。界面活性剤の働きを簡単に言うと「洗浄液(洗濯機の中の水ということ)の中に汚れ成分を溶かし込むための触媒」となります。触媒としての本質的な働きは「水分と油分の反発しあう力を無くす」ということにあります。

汚れの種類は様々あって、もともと水に溶けやすいものもあり、それらは水自体の溶解力と洗濯機の機械的作用(衣類が揉まれたり叩かれたりする過程で起こる、汚れの剥離)で割と簡単に落とせます。

しかし油溶性の汚れはそういう訳にはいきません。特に衣類などの布製品に付着した油分(ニオイ成分のうちの難水溶性成分もこの油分に含まれます)は、水の中に投入された布の中で、頑なに衣類にしがみつこうとします。実際、水と油が接触する部分は被膜が形成されたようになっていて、両者が混じらないようになっています。

だから、油分、強いて言えばニオイ物質のうちの特に悪質な難水溶性のニオイ物質は、水で洗っただけでは除去することは出来ません。

洗剤の洗浄成分である界面活性剤は、この水と油の境目(界面と言う)を壊す働きがあります。

しかししかし…今流行りのコンパクト洗剤では洗濯水の量に見合うだけの界面活性効果が見込めない!  さらにさらに…ニオイ物質を除去する目的の成分を配合している市販洗剤なんて、一つもない!

と言う面白い話を次回に!

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