No.2 体臭とは何か?その1

No.2 体臭とは何か?その1

体臭検査を既に受けた方はもうご存じと思いますが、体臭とは「体の中から出ているニオイ」だけではありません。体臭検査を受けてない方は「えー? 意味が分からない…」となるかも知れませんが、これは本当の話。

確かに体臭の元となる「ニオイ物質」は体から出てくる分泌物、汗や皮脂に含まれるということなので…それが原因ではあります。ただ、その瞬間に体の中から出てきたニオイ物質だけが臭うわけではなく、既にそこにあるニオイ物質や、身体の外に出てきてから別種のニオイ物質になってしまって強くて悪いニオイに変性するものもあります。

何を言いたいのか、というと、つまり、体臭を一つの側面だけで捉えてはいけないということ。例えば、身体の表面のケアだけを頑張ればニオイに悩まされなくなる、ということではないのです。

体臭の3大要素

整理して書きますと、体臭とは

①その瞬間に体表に分泌されるものに含まれるニオイ物質②すでに肌の上に存在しているニオイ物質➂衣類に蓄積しているニオイ物質

の3つの合計ということになります。また②と➂については、体の中から体表に分泌されたままの状態のニオイ物質の他に、外気に触れて空気中の酸素によって酸化され、より悪いニオイに変性したものや、体表及び衣類に存在している雑菌の関与によって、より悪いニオイに変性したものも含まれます。

汗と皮脂 ニオイ物質が含まれている分泌物

身体の中から分泌されるモノというのは「汗」と「皮脂」のこと。汗というのは拭けば簡単に拭き取れることから分かるように、基本的には「水」が主成分になります。ニオイ物質の物性を調べてみると、一つの側面として「水に溶けやすい水溶性化合物」と「油に溶けやすく水に溶けにくい油溶性化合物(難水溶性化合物と考える方が良いです)」とに分けることが出来ます。その2つのタイプのニオイ物質が汗か皮脂に含まれて体表に出てくる、ということ。

水溶性化合物とは

体臭に関与する水溶性化合物の代表格に「酢酸」と「アンモニア」があります。どちらも水にサッと溶けます。そして通常は誰の体臭にも、多少なりとも含まれます。酢酸が強めの汗は酸っぱい汗臭、ツンとする感じが特徴的。アンモニアが強めの汗は、そのボリュームの程度によりますが、むわっとする感じ、アンモニアそのものの感じ、生臭い感じ、ガツンと来る刺激感、等と感じられます。

どちらも閾値(その物質がどのくらいの分量で存在していれば「ニオイ」として認識できるかの値)が高く、閾値が高いということの意味は、たくさんの量が存在しないとニオイとして認識できないということ。

汗というのは、もちろん、その質にもよるのですが、分泌されたばかりの汗で分量が少ないときは「水っぽいニオイ」に感じられます。しかし分泌量が多くなると、その中に含まれる酢酸やアンモニアの分量も当然多くなるわけで、ある一定のボリュームを超えると閾値限界を超え、人間の嗅覚で感知できる「ニオイ」になってしまいます。

考えておかなければいけないことは、酢酸にしてもアンモニアにしても、もちろん、その他の水溶性ニオイ物質にしても、汗に含まれる水分が揮発するときに一緒に揮発してくれなくて、そのニオイ物質だけが肌や衣類に残ってしまう場合もあるということ。

例えば海水を沸騰させて水分を飛ばしていくと、底の方に塩だけ凝固してくるでしょ? あれと同じ理屈で汗に含まれるニオイ物質はいつまでも肌や衣類に残っているわけです。

油溶性化合物とは

汗は環境温度や何らかの原因によって体温が上がると、体温を調節するために出てきます。気温や室温の他に緊張やストレス、運動等でも汗をかくわけですが、すべからく、体温を調節するために出る、と考えて下さい。つまりは、汗をかくときは体温が高い状態にある、ということ。この「体温の状態」というものは、体臭を考えるときに重要なファクターなのですが、今は横に置いておいて…

汗と違って、皮脂は肌の乾燥を補うために分泌されます。皮脂とはその名の通り「油」です。というのも、水分が多い汗は、瞬間的に肌を濡らすことがあっても、あっという間に揮発してしまいます。水だから当たり前ですよね。だからいくら汗をかいても肌の保湿にはならない。人間の皮膚なんてものは非常に脆弱なもので、乾いてしまうともろくなり、ウイルスや菌、空気中の有害な物質の体内侵入を防ぐことが出来なくなります。つまり人間が健康でいるためには、肌は常に潤っていなければならないわけです。

そのために皮脂はひっきりなしに分泌されます。皮脂は「油」なのですが、油というものは拭っただけでは簡単には除去出来ません。肌の上でも同じこと。常に油を引いたような状態になって肌を保護してくれているのが「皮脂」ということです。

体臭原因となるニオイ物質は皮脂により多く含まれている

さて、ニオイ物質の種類はたくさんありますが、水溶性のニオイ物質よりも難水溶性(油溶性)のニオイ物質の方が数は格段に多い。そしてヒドイニオイのモノも多い。もひとつ言えば閾値の低いもの(わずかな量ですごくクサイ)が圧倒的に多い。

皮脂の分泌量は肌の乾燥状態で変わります。肌はと言えば、外気の湿度の状況で乾燥状態が変わる。つまり皮脂分泌量の多寡は季節的な変動が一番大きいわけですが、実のところ、夏よりも冬を含めて空気が乾燥する時期の方が皮脂は多く分泌されます。

だから皮脂系のニオイ物質は、夏よりもその他の季節に多く肌に表出します。ワキガ臭や加齢臭、PATM等、皮脂由来のニオイが原因となる体臭については、夏よりもその他の季節の方が悩みが深くなる場合もあるわけです。

まあ、分泌量が多い乾燥する時期は気温が低いので、「ニオイ物質の揮発」という点では体臭拡散に有利に働きますが…それでも油断は禁物ということです。

続きは次回に。

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