アンモニアです。今回はアンモニアについての考察です。アンモニア自体は理科の実験などで嗅いだことがあるという程度の人が多いと思いますが、実は身の回りにたくさん存在しています。
私のとっては最も身近なニオイ物質ですね。そして侮ってはいけないニオイの元。しっかり勉強していきましょう。
身近なアンモニア。その特性は?
アンモニアは一つの窒素と3つの水素で出来ている、非常に簡単な組成の化合物です。体の中でも簡単に出来ちゃうし、表皮雑菌が最初に作る化合物もアンモニア。おしっこの中にもたくさん含まれているし、雑菌が繁殖しやすい場所なら、どこにでも現れます。
アンモニアは、生体反応で作り出される様々な窒素系化合物の原料として窒素を供給する、という役割もあります。つまりアンモニアがあれば、アミンやピロール等、よりエゲツナイニオイ物質も作られやすくなってしまう、というのが、また厄介。
逆に殺菌剤で使われる4級アミンなんていうのも、窒素化合物なんですが…それだけ様々な場面でお目にかかります…私のようなお仕事をしていると。
アンモニアは組成が単純。えぐいニオイの元にもなる
だから、体内からのアンモニアがたくさん分泌されると、それが雑菌の餌になって、もっと悪いタイプのニオイ物質が出来てしまう、という事に繋がります。
アンモニアは非常に水に溶けやすい水溶性化合物ですが、だから、汗と一緒になって、体中の表皮に出てきます。水に溶けやすいし、分子構造も単純で軽い化合物だから、揮発しやすい。
しかし、体表にあっても次から次に体温で揮発するので、あまり溜まらない、というのが、まだ救いです。なんせ、沸点がマイナス33度ですからね。
それと、非常に閾値が高い。閾値の話は、また別の機会にしっかり書きますが、簡単に言えば、どのくらいの量があれば、人間に感知できるのか? という指標です。閾値が高いとたくさんある場合にだけ臭ってくる。閾値がすごく低いと、少しの量ですごくクサイ、という事です。
アンモニアがニオウ時にはかなりの分量がある!
アンモニアは非常に閾値が高くて、足臭のイソ吉草酸とか、加齢臭のノナナールとかの閾値より4桁も5桁も高いのです。だからイソ吉草酸が1個だけあればクサイと感じる敏感な鼻の持ち主も、アンモニアなら1000個無いと臭わない、という事になります。
だけど、前述の通り、すごく簡単に作られるから、どこにでもたくさん存在している、というわけです。
若い人の汗にはアンモニアが多い。
アンモニアは、生体がタンパク質を分解するときに必ず発生します。発生量はその人によって変わってきますし、タンパク質の種類によっても変わっていますが、聞くところによると、やはりお肉を分解するときに、よりたくさん生成される、とのこと。牛肉が一番発生しやすいという説もあります。
確かに私も焼き肉を食べた次の日は、ウンチ君がアンモニアの刺激感を含んでいるのがよくわかります。ニオイというよりもアンモニアの刺激感ですね。もちろん、焼肉の場合はニンニクも無縁ではないでしょうが…
汗をかく、お肉をたくさん食べるも、アンモニア発生原因に!
代謝が良いこととアンモニアの発生も関係があるようで、若い人で汗かきの人は、表皮雑菌のせいもあるけれど、そもそも体内発生のアンモニアが多いようです。
だからお肉をたくさん食べてしまったときは、アンモニア臭に要注意です。バランスよく、タンパク質と炭水化物と繊維質を摂るようにしましょうね。
足臭の4大要素のうち、一番注意はアンモニア
足臭がきつい人は、だいたいアンモニアを検知します。実はアンモニアのような揮発の激しい化合物はGCMS(ガスクロマトグラフィー)で検知するのが難しいので、ガス検知管という検査方法で物質の有無やボリュームを調べます。簡単に言えば、ビニール袋に靴下を入れて、そこの中の空気を機械で吸って、その中にアンモニアがあるか調べる、という感じです。
足臭の生臭さもアンモニアが原因かも?
そしてアンモニアっぽくなくても刺激感や生臭さがある靴下では、だいたいアンモニアが検出されます。足臭にとってのアンモニアは、体臭にとっての基礎体臭物質のような働きがあって、足臭の強い弱いを左右している印象です。
アンモニアについては、ブログの中で今後何度も出てくると思うのですが、きちんと対処しないといけません。悪いニオイの大元にしかならない化合物ですからね。
次回は、そのアンモニアからも作られる「その他の窒素系化合物」の話です。