No.15 体臭原因物質グループその3(お惣菜コーナー的体臭)

No.15 体臭原因物質グループその3(お惣菜コーナー的体臭)

前回、アルデヒドの説明を始めたのですが、案の定、紙面の関係上、全部を網羅できませんでした。実はアルデヒドというのは誰もが検出される物質も含まれますが、そうではなく、特別な体臭の元にもなる物質も含まれています。

その体臭とはPATM。パトムの刺激感の元となる物質のうち、いくつかはアルデヒドと名前が付く物質になります。それらも含めてアルデヒド。

一つずつ紐解いていきましょう。

デカナールは甘酸っぱいけれどお総菜コーナーの酸っぱさになる

これもアルデヒド類に含まれるけれど、誰でもが分泌される可能性が高い基礎体臭物質グループになります。前回のブログで説明したヘキサナールやへプタナールと同じく、量が少ないと甘酸っぱいニオイなのですが、量が増えてくるとお総菜コーナーで感じる酸敗油臭になります。少し傷んで酸っぱくなった食用油のようなニオイ、或いは揚げ物臭などです。

お総菜コーナー臭は30代以上の女性に多い

30代を超えた女性だとノナナールとこのデカナールの分泌量が過剰になる人がいます。それぞれ別のニオイタイプなのですが、この2つが合わさってたくさんあると(もちろん他のニオイ物質の影響がないとは言い切れませんが)なんとなく、お総菜コーナーのようなニオイに感じます。ある人は蒸したシューマイを思い浮かべるし、ある人は酢豚を思い浮かべるし…ワキガのニオイに感じるという人もいます。

ただ、基礎体臭だけで組まれた体臭というのはワキガと違ってわきの下だけでなく体全体からニオイが発露します。またワキガほど強く感じず、どことなくフワッとモワッと感じる体臭と言えばよいのか…

私のようにたくさんの人の体臭を嗅ぎ分けてきた人間には、ワキガ臭と基礎体臭だけで出来ている体臭というものの違いは明確なのですが、人によっては違う印象を持つこともあります。だから、基礎体臭といえどもたくさん発露しないようにする努力が必要です。

アンズやバニラ、シナモンの香りもアルデヒド

アルデヒドは「特徴的な臭気を持つ」というのが特徴であるのですが、すべてが「悪い特徴的なニオイを持つ」とは限りません。

よくあるのは「甘酸っぱい良い匂い」のベンズアルデヒド等。これはあまりたくさん分泌されないためか、甘酸っぱいのだけれど、嫌な臭いに感じることはあまり無いようです。他にも甘酸っぱい良い匂いの物質はたくさんあります。アルデヒドではないものも、体臭検査の「ニオイの分類」の中では「甘酸っぱい良い匂い」として一括りにして考えていきます。

若い女の子の良い匂いの元はたいてい「良い匂い」のアルデヒド

10代から30代半ばまででよく見るタイプのニオイです。バニリンも甘いニオイの物質で良い匂いのアルデヒド。他にもフラン系など甘くて良い匂いは、体臭検査のニオイ分類ではひとまとめに分類して考察しています。

あとシナモン系のニオイもアルデヒドが原因です。これも体臭物質として検出されますが、たくさん分泌されているときは、かなりエグイ感じがします、が通常は僅かな分泌量。そして僅かな分泌の場合は心地よいニオイに感じます。

これら良い匂いは、あえて消臭アプローチはしません。あとラクトン類(桃の甘い香り)など、アルデヒドとは関係ないけれど、それらも含めて、そのまま残せるように考えて、洗剤作ってます。まあ、そんなに細かく「残す」なんて出来ないから、単純に無視しているだけですけど。

これが問題。刺激感のあるアルデヒド類

プロピオンアルデヒド、バレルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナールやブタナール、クロトンアルデヒド等の、骨組みの中の炭素数が少ないアルデヒドは、総じて刺激感を伴います。僅かな量だと鼻がむずむずする程度ですが、増えるとすぐにニオイを伴ってきます。焦げ臭かったり、甘酸っぱかったり、埃っぽかったり… あまり学会の方では取り上げて貰ってないけど、私はPATMの原因物質の一つのグループだと思っています。

そして、それらのうちいくつかの物質は「指定悪臭物質」であり、「危険物」でもあります。

PATMの原因の一因でもある

これらもアルデヒド類であるからには体の中で作られる可能性があります。だから体の外部から取り込まれると予想される刺激感のある炭化水素類と並んでPATMの原因となり得る、と考えています。

そしてこれらが分泌物分析で検出される比率は、結構なパーセンテージであり…その検出を見たユーザーさんは鼻啜りなどの第三者反応に悩まされている…

PATMについてはいずれ、またゆっくり紙面を割きますね。とりあえず、次回はまだ5大グループの説明です。

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